コーヒーを理解する ~その2~
- cou
- 2020年11月9日
- 読了時間: 4分
更新日:2020年11月22日

前回、コーヒーを理解するのに、酸味と苦味のバランスが重要だとお話ししましたが、そもそもコーヒーの酸味と苦味はどうやって生まれるのでしょう?
本来コーヒー豆というのは生豆の時は多くの酸味を含んでいます。勿論、渋さやエグさといった人間が不味いと感じる味も多く含みます。そして高い熱を加え続けることで、この元々の酸味は分解され、新たな酸味へと変化します、また焼いていくことで苦味が加わっていきます。この作業が焙煎です。
つまり、元々酸味の強いものを焙煎することで、その酸味を和らげ、苦味を加えたものが、私たちがいつも目にするコーヒー豆なのです。
ですから、焙煎時間の短いコーヒー豆は酸味が強く、焙煎時間の長い深煎りは苦味が強いのです。前者を浅煎り豆、後者を深煎り豆と呼びます。
浅煎りの豆で苦味を出したり、深煎り豆で奇麗な酸味を出したりは、出来ないことはありませんが、苦味を出したければ深煎りを、酸味を出したければ浅煎りを選ぶ方が無難です。
一般的に小売店でパッケージされた豆は浅煎りと深煎りの中間、「中煎り」もしくは「中深煎り」が多いと思います。酸味と苦味が丁度半々なものですね。この中煎りや中深煎りにおいては酸味と苦味のバランスは抽出の仕方によって変わりますので、比較的コントロールしやすいと思います。
具体的に説明しますね。
酸味を強調するとは、苦味を少なくするという事です。酸味成分にはいくつかあって、これは低温でも高温でも必ず現れます。しかし酸味と苦味は出てくる時に時間差がありますので、後から出てくる苦味を出にくくするだけで、理論上は酸味の強いコーヒーになります。
苦味成分は、特徴としては高い温度で抽出されやすいので、やや低めに湯温を設定します。湯温を下げるのは苦味の抽出を悪くするためです。コーヒー豆に限らず茶葉なども高い温度で抽出すると味がよく出ますよね?高い湯温だと、抽出効率や抽出速度が上がるため苦味がすぐに出てきてしまうんです。
酸味は低温でも高温でも出ますから、低い湯温で抽出することで苦味を抑えることができます。ここがいわゆるバランスですね。酸味と苦味半々だったもののバランスを変える事になります。
よく「浅煎りは高温で抽出した方がよい」と言われ、実際その方が美味しくなります。
「あれ?酸味を強調するには湯温を下げるんじゃ、、、?」
って思いますよね?
酸味や苦味について語る時、それを強調する事と、その味を美味しく飲む事は違います。
前述の場合は酸味と苦味が半々の中煎りで、酸味の方を強調するという事。
浅煎りを高温で抽出するのは、酸味を美味しく飲むという事なのです。
ではなぜ、浅煎りは高温での抽出がよいのでしょう?湯温が高いと苦味が出てしまいますよね?
「苦味が出てしまう」
気付きましたか?
浅煎り豆を美味しく淹れるコツもバランスを変えてしまう事、つまり今度は苦味を出してあげるということなんです。
考えてみてください。元来、酸味成分の多い浅煎りを、苦味の出にくい低温で抽出したらどうなるか?
物凄く酸っぱいコーヒーになりますよね?苦味がほとんどないのですから当たり前です。
酸味好きな方でも、こういったコーヒーは「酸っぱすぎる」と感じるはずです。高温で適度な苦味を加えることで強い酸味がマスキングされ、丁度良い酸味のコーヒーになるというわけです。
ちょっと難しいと思いますので、整理しますと
中煎りにおいて酸味を出すというのは、反対の苦味を出にくくすることで酸味が強調されたように感じるということ。そのためには苦味の出にくい低温での抽出がよい
浅煎りを美味しく淹れるためには、反対の苦味を出すことでバランスがよくなる。そのためには苦味の出やすい高温での抽出がよい。
酸味は浅煎りにおいては豆の特徴上、出やすいので、あえて酸味を抑える方が美味しく味わえる。
ということです。
では、苦味をコントロールするにはどうすればよいでしょうか?
湯温を高くして苦味を強調する。湯温を低くして苦味のバランスをとる。
今回は抽出する温度、つまり湯温だけでの説明ですので、答えはそうなると思います。
半分正解で、半分間違いです。特に苦味を美味しく味わうためには、更に他の要素が必要になります。
それはまたの機会にお話ししますね(笑)。
コーヒーにおける酸味と苦味の出し方は絵に例えるなら、基本のデッサンにあたります。明るいところを強調したければ必ず暗い部分が必要です。逆に暗い部分を描くには明るいところを無くせば良いのです。
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