top of page

思い通りにパンが焼けない人にために

  • cou
  • 2021年4月14日
  • 読了時間: 5分

正しい作り方を求めて

ここ一ヶ月ほど、フランスパンにはまってしまい、ずーっと試行錯誤しているわけですが、色々な方のレシピや動画を見ているうちに気付いた事があります。


私もたまに使いますが、例えば「常温で~」とか「1、2時間」といった表現です。この表現、よくレシピや動画などでも使われます。


「常温」とは?「1時間」ですか?「2時間」ですか?


家庭などでは、快適な温度設定は20℃~27℃くらいでしょうか?それでも夏場と冬場では体感的な温度に差がありますし、冷蔵庫などに入れないのを常温というならかなりアバウトな表現という事になります。「室温」も同じですね。そして室温が違う状態でアバウトな時間設定を考えてしまうと、いつまでたっても理想のパンになりません。


何が言いたいかと言いますと、パン作りの技術以前に、環境や手順を一定にしなくては失敗の理由が正確にはわからないという事です。


ここ、凄く重要だと思います。


パン屋さん(すいません、ベーカリーですね)では、常に一定の室温で毎回、同じ作業をルーティンとして行うと思いますが、実はそれが一番大事で、それで初めて技術の習得ができるのだと思います。それに比べて家庭では、温度もまちまち、時間もまちまち、色んなレシピを試していくことで、作業のルーティン化ができません。


技術が未熟なのに、作業工程を変えてしまうことで、結果が全く変わる。うまくいったと思っても次作ると、環境設定が違うのでまた失敗する。


この繰り返しです。


カフェで、自家製パンを使ってサンドイッチやランチを出す場合、いつも同じものが作れないといけません。見た目は勿論のこと、味や触感もです。そのためにはパン作りの作業をルーティン化し、環境設定を常に一定にしておく必要があります。小さなカフェだと、環境が家庭とさほど変わりませんので、一定の環境を作るということを強く意識しておく必要があると思います。

大切なのは生地の見極めと温度

冒頭にも書きましたが、漠然とした表現を自分なりの解釈で作業するのではなく、生地の状態で判断するようにしましょう。プロの方達のいう「大体~」は彼らの豊かな経験・知識に裏付けられていますが、我々にはそれがありませんので、自分で構築していく以外にはありません。


パン作りの工程は、生地を締めたり、緩めたりしながら、弾力性をもたせ、酵母やイーストの力で膨らませることです。とてもシンプルなこの2つの事象に時間を加えることで出来上がる作業です。


フランスパンだと、クープが大きく開いたカッコいいの焼きたいですよね?私も最初、そうでした。しかし、目の詰まった状態でもクープって開きます。水分量を控えたり、油脂を加えたりすることで扱いやすい生地にもなります。様々な作り方があるのがパン作りなのです。たくさんの種類のパンが作りたければ、パンの種類によって生地の違いを見極められるようにならないといけません。


話をフランスパンに戻しますと、「捏ねない」と言われているフランスパンですが、


「捏ねます」


「捏ねない」という表現を誤って解釈してしまうと、焼きあがったパンは「ぼそぼそ」です。加水率を高めにしてもそれはあまり変わりません。フランスパンは大きな気泡を出したいので加水率は高めですが生地自体はある程度強く繋がっています。ツヤのあるクラムは水分と生地の繋がり方(強さ)で生まれるものです。


一般的に我々が思い浮かぶ、こね台の上でのよいしょ、よいしょ、という捏ね方をしない動画を見ますが、その場合は長めのオートリーズと台の上で何回もの折りたたみ作業をしていると思います。


「伸ばす」「圧をかける」これが実は「捏ねる」という作業なのです。そしてその作業は時間で決めません。ツヤのある状態になるまでです。では、その状態になるまで捏ねればいいのかというと、そこには温度指定があります。


23、24℃で捏ね上げを完了すること。


ここで、もし30分捏ねていたら、生地温は何度まで上がるでしょうか?捏ねる作業では、手のひらの温度が生地に伝わりますし、摩擦熱で生地温はすぐに上昇します。どうしたらよいでしょう?


生地の分量によって捏ね作業は変わりますし、捏ねていく力は、男性か女性かにもよります。ツヤのある生地に到達するのに自分の捏ね方だと何分かかるなとわかったら、終了時の生地温を確認します。高い場合はスタート時の生地温を下げて始めます。低い場合はその温度になるまでさらに捏ねるか、スタート時の生地温を上げておきます。スタート時の温度調整は水温でできます。


発酵の終了も同じです。よく、指を入れてみて、穴が戻らなければOKとありますが、これもアバウトな表現です。戻らないという感覚は人によって違うからです。2倍近く膨らんだ後、生地を一つまみして、伸ばしてみて薄い奇麗な膜が均一にできていることが重要です。


あまり、生地を強くしたら大きな気泡ができないのでは?と思うかもしれません。

そこで重要になるのが、温度です。適切な温度でのみイースト菌は働きます。高い温度では死滅しますし、低すぎては働きません。健康なイーストを生地の中で育てることで、多くのガスが生まれます。


生地と温度


時間はそれを調整するためのものです。


理想のパンに近づくためには、逆算して作業工程を考えてみるといいと思います。そうすることで自分のパン作りのルーティンができます。正しく生地ができれば、次は成形の技術や焼き方の工夫を考えていけると思います。


良きパンライフを!

Comentarios


bottom of page