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弱者の兵法

  • cou
  • 2020年1月8日
  • 読了時間: 3分

イメージだけでものは作れる

資金力のない個人店が大手に立ち向かう時、ネックとなるのはお金だけではありません。彼らはいつだって先のトレンドを見据えたマーケティングや商品開発を怠りません。「ここまでででいい」は彼らの戦略にはないからです。ただ、我々が同じようにトレンドを追いかけていく必要はありません。彼らとは違う価値観を持ち、共感してくれる人たちを味方にすればよいだけです。



ズッパイングレーゼはスーパーやコンビニに並ぶことはないですし、作っているケーキ屋さんも見たことがありません。パーティなどでたまに見かける程度ですかね。

ズッパの作り方にルールはありません。アルケルメスというリキュールに浸したスポンジなどを、カスタードクリームと何層かに重ねたシンプルなケーキです。間にフルーツやチョコを入れたりして、楽しみ方は自由です。基本ね。


私は最初、このケーキの味が全くわからず、調べていく中でアルケルメスという赤いリキュールが決め手なのだとわかりました。ただこのお酒、今は手に入りますが、以前は日本への輸出ができなかったといういわくつきです。なぜかというと、この赤い色素はコチニールという赤い昆虫から作られているからです。(現在は昆虫ではなく食用着色料が使われています)


昆虫、、、、虫の体液、、、、です。



というわけで、そんなものが輸入できるわけもなく、ただただ想像するしかありませんでした。


スパイスの効いた赤くて甘いお酒。


これが当時、私が知り得た最大の情報でした。赤くて甘いお酒、、、真っ先に浮かんだのは赤ワインでしたが、最終的に選んだのはグレナデンシロップ。これにシナモンとオールスパイスを加えて「なんちゃってアルケルメス」の完成です。カスタードクリームにベリーと刻んだチョコを入れて、一日、冷蔵庫で冷やすとスポンジにスパイスとシロップの甘さが染み込んで何とも言えない複雑な味がします。冷やしすぎるとカスタードの味が負けてしまいますので、食べごろが難しいですが、日本人にはあまり馴染みのないくせのある、中近東あたりで好まれそうな味です。


結果的に想像だけで、私はこれを商品としてお店で出したのですが、お客様によって好き嫌いがはっきり分かれるものでした。カフェの定番ケーキがショートケーキ、チーズケーキ、モンブラン、タルトケーキという時代でしたので、まぁ、致し方ないですよね(笑)。


ただ、今であれば、こういったケーキをお店のオリジナルとして出してみてもよいと思います。


1.ズッパイングレーゼという耳慣れないネーミングはインパクトあり

2.美しい赤を上手に見せることで、見た目のインパクトもあり

3.一部のスパイス以外は、ほぼカフェにあるか、安い材料でできる

4.あまりメジャーではないので独自でアレンジがしやすい

5.そもそもズッパを扱っているお店が少ない


とまぁ、これぐらい優位性はあると思います。人と同じ事をやっても人には勝てない。でも人より多くの汗を流したからといって勝つとは限らない。誰かと勝負してるってわけではないですが、弱い者には弱い者の戦い方があると思います。


考える事、想像すること、それを実現するために行動すること。弱者にこそ求められるものです。そして、すべてが「人を幸せにする」というゴールへ続いていると思いませんか?


あなただけのズッパを作ってみましょう。

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