top of page

家庭で焼くフランスパン ~その3~

  • cou
  • 2021年3月24日
  • 読了時間: 6分

更新日:2021年4月14日


頭の中をスッキリ整理

ほぼほぼ、自分自身のためにですが、フランスパンを作っていく中で気付いた事を列記していきます。


1.粉の種類に合わせた加水率

とても重要です。フランスパンなどのハード系のパンは加える水の量が普通の食パンなどより多いです。粉の分量を100とした場合65~75%、80%くらいあります。油脂の入らないパンですので、水分が少ないとぱさぱさのパンになってしまい、もちもち感がでません。


さらに大事なのは、「粉の吸水」です。吸水が不十分ですと、きちんとしたグルテンが出ませんし生地も切れやすくなります。また、吸水が多すぎると、窯伸びも悪く、ねちゃねちゃした触感になります。


フランスパンは準強力粉を使用します。よく強力粉で代用するレシピがありますが、強力粉はタンパク質の含有量が準強力粉より多いため、より多くの水を吸水しますので、吸水過多になりやすいです。したがって、強力粉を使うときはタンパク質含有量の少ない薄力粉と混ぜることで、吸水量を調整します。

強力粉の場合はボリュームが出やすく、食パンのようなふっくら感が出ます(スーパーなどで売っているもの)。しかし、生地が強くなりすぎるため大きな気泡はできにくいです。また、粉の風味もあまりありません。


吸水に有効な手段は「オートリーズ」です。時間は作り方にもよりますが、30分~3時間ほどを目安にすると良いです。十分な吸水が行われた生地はその後の捏ね作業も非常に楽です。


加水率を高くしてオートリーズを行った後、まだ水が残っている場合があります。これは粉の吸水より水の量が多いという事になります。


2.ミキシングは捏ねすぎないように

オートリーズなどで十分な吸水を行ったあとは生地を強くします。ここで、「捏ねる、捏ねない」の話になりますが、生地を張りのある状態に持っていく作業は必ず必要だと思います。もし、パンチだけで済ましたい場合は低温熟成をより長く(48時間とか?)する必要があると思います。


生地を強くするためには 伸ばす、叩く、その後「緩める」という作業を行います。伸ばし方や叩き方は決まってませんが、なるべく同じ方向だけにならないようにします。


生地の出来上がりは、何分捏ねて何分ベンチとかいう時間ではなく「生地の状態」で確認しましょう。なぜなら、その日の気温や湿度なども生地に影響するからです。


両手で生地を薄く伸ばしてみて、どんどん薄く伸びるようなら捏ねすぎです。ある程度までは伸びるがゆっくり切れるくらいなら十分です。パンチで繋ぐ場合も回数ではなく生地の状態で判断しましょう。

捏ねすぎたクラムは白っぽいので焼いた後でも確認できます。


たぶん、ここが一番難しいと思います。


ストレート方ですと、ここから1次発酵→ベンチタイム→2次発酵と進みますが、レシピによってはそのまま冷蔵庫で低温発酵させるものもあると思います。


個人的には1次発酵をとってからの冷倉庫で一晩というのが良いと思います。


十分な吸水→適度のミキシング→1次発酵で生地が緩む→一旦丸め直して→冷蔵庫でゆっくり休ませる


ここまでで生地自体は80%出来上がっています。しかし、イーストの働きはまだ半分です。イーストに余力を持たせておくことが大事です。


3.イーストの量

ドライイーストは使い勝手がよいので、僕も使っていますが、オーバーナイトでの製法ですとほんとに少なくてよいです。イーストが多すぎるとねちゃっとしたクラムになるような、変なアルコール臭がするような。以前は早く発酵させたくてガンガン使っていました(笑)。

イーストは、十分な栄養と酸素があれば増えていきますので心配ないです。


ゆっくりと生地の中でイーストを育てる感覚で良いと思います。


4.成形

ポイントは余分なガスを抜いて、必要な気泡は潰さない。生地をあまり触らずに、よく張るということです。ミキシング同様、これはもう経験で覚えるしかないです。


クープは斜めではなく、縦に入れていくイメージです。張った生地が引っ張る方向と直角に近い方が大きく開きますよね。


5.焼成

家庭用のオーブンですとここが一番の問題です。最近のオーブンは性能もよく高機能ですので、そこは問題ではないという方は幸せです。うちのオーブンは古いタイプなので、ハードパンを焼くような機能は一切ありません(笑)。


フランスパンは最初にスチームをして焼き上げます。理由は、パンを下から焼いていくためです。パンの表皮が濡れるので、焼き固まるのが遅れます。下からの火で膨らんできたパンは、まだ柔らかい表面の割れ目(クープ)を広げるようにして大きくなります。この時、中にある水分も外に飛ばしてくれます。クープのエッジが立つのは、その時に水分が蒸気となって吹き出すことで生地がめくれる現象です。(たぶん)


つまり、クープが開くというのはパンが十分膨らんだことを意味し、エッジが立つのは余分な水分が出た事の証明ですね。こういった現象がおきて中に大きな気泡ができ、水々しいクラムになります。


古いオーブンは大抵、上からの熱源だけですから、下からの熱量がどうしても足りません。


上から焼けてしまうので、いくら霧吹きなどで表面を濡らしてもクープはあまり開きません。霧吹きすればするほど、デンプン質が固まって硬いパンになります。


クラストがカチカチで、中のクラムがねっちょり(生焼け?!)。それが僕が以前焼いてたフランスパンでした。成形の時の締めが甘いと思い、何回も締めて、やっとクープが開いたと思っても、中が、、、


本来、フランスパンは大きな窯で下からの直火で焼きます。となりに小石を敷いて、熱湯をかければスチームできますから、単純な焼き方なのです。


必要なのは圧倒的な一定の熱量です。


家庭用のオーブンは庫内に温度差が生まれてしまい、温度も300℃では焼けませんよね。カッコいいバゲットは無理でもバタールぐらいならと思うと思います。しかし、焼く体積が大きければ大きいだけ、必要な熱量は大きくなります。つまり、オーブンに入る長さがきちんと焼ける長さではないという事です。しかし、オーブンの1/3程の体積なら十分焼くことができます。


どうしても上手くいかない時は、小さいサイズで作ってみたらよいと思います。


僕はダッチオーブンを電気オーブンの中で250℃に余熱して、その中に生地を入れ、霧吹きして蓋をして焼いたら、うまくいきました。とても小さくて、見栄えも悪いのですが、これまで問題だったことが全てうまくいきました。


「なーんだ、やっぱり熱量じゃん!」


ダッチオーブンはキャンプなどで直火でガンガン使いますから、高い温度をキープできます。ハードパンにはうってつけと言えるでしょう。他にもステンレスのボウルを被せるやり方もありますが、ダッチオーブンの方が熱がこもりやすいように思います。



クラムも粒々、ぼそぼそしてなくてとっても美味しかったです。暫くはこのやり方でやってみたいと思います。

Comments


bottom of page