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塵も積もれば山となる

  • cou
  • 2020年1月25日
  • 読了時間: 4分

一芸に秀でてこその、生き残り

カフェ開業を決めた時、色んな事をイメージしていたと思います。「コーヒーが好きだからコーヒースタンドをやろう」とか、「クレープに自信があるから、クレープ屋にしたい」とか「カレーとケーキだけで勝負しよう」とか。


でも、お客様から「何々は(やって)ないの?」って聞かれると、「やっぱ、それもメニューに入れないとマズイかな?」ってなるんですよね。しかし、幅広い客層に合わせてメニューを広げるのもいいのですが、できないものを追い求めるよりできることに力を集中した方がよい場合もあります。というか、個人店はその考えで良いと思います。


写真は、自家製バンズを使った照り焼きチキンバーガーになりますが、原価はどれくらいだと思いますか?


通常、バンズは業務用で仕入れても、レギュラーサイズ(約10cm)だと100~120円というところでしょうか。安いものでも80円ぐらいはすると思います。鶏モモ肉は100~140円/グラムぐらいで、業務用なら更に安いものもありますが外国産の冷凍ものだったりします。さらに、照り焼きチキンとなると業務用でも200円/グラム程はかかると思います。(更に安く手に入れることもできますが、質という点において、あまりお勧めできません)


つまり、安いバンズと照り焼きチキン100グラムで280円ということです。


次に野菜です。ソティドオニオン、スライストマト、グリーンカールを使っていますが、合計で40~50円くらいです(近くの八百屋かスーパーで購入した場合です)。野菜の場合は、業者さんにもよりますが意外と高い場合が多いです。配送してくれるので当然、その分が料金に上乗せしてあります。


これで、バンズ、照り焼きチキン、野菜の合計は


280+40=320円


ということになります。


ただ、これだけだと寂しいですから、フライドポテトなんかも付けたいですよね?これは安いです。

国産でも100グラムで20円ほどです。多めに使っても30円ぐらいですね。


さあ、これでフライドポテトが付いた照り焼きチキンバーガーができました。


原価は全部で350円です。


幾らで出しましょう?1000円ですか?妥当なところですね。


※実際は、マヨネーズやマスタードなども計算しますが、ここでは省きます。


さて、写真の照り焼きチキンバーガーですが、原価は


170円です。


自家製バンズ・・・30円

国産鶏もも肉・・・100円/グラム

野菜・・・40円


照り焼きチキンのたれを作るのに使う材料を入れても、最大で210円。同じようにポテトを付けても全部で240円。その差は110円ということになります。


つまり、自分でパンを焼き、照り焼きにすれば、小麦粉と鶏肉、野菜という素材の原価でほぼ済むというわけです。


「そんなことわかってるけど、作る技術も時間もないんだよ」


そうですよね。カフェでは、パンは基本買うものですし、照り焼きチキンも冷凍モノで対応した方が作業は楽ですしね。


でも、110円の差は大きいですよ。それがどれほどかを考えてみたら。


この照り焼きチキンバーガーを一日30個売った場合、一ヶ月で900~930個になります。


110×900=99,000 


原価110円の差は一ヶ月では約10万円の差となるわけです。1年間で120万、5年間で600万円もの差となります。当たり前にモノを仕入れて、標準的な価格で販売しても売り上げは伸びません。「売れども売れどもお金にならない」理由がここにあります。小規模なお店程、実は粗利にこだわるべきなのです。

多くの商品に手を伸ばすことで仕入れコストが上がり、粗利を下げるくらいなら、商品数を絞り込み、原価を下げる努力をした方が粗利もクオリティも上がります。


今回は、バンズと照り焼きチキンを手作りすることで生まれる原価の差に目を向けましたが、野菜が安く手に入るのであれば、それで原価の差を作ることもできます。重要なのは、全てに於いてコストを下げなくとも、何かひとつでも強みを持つことで最終的に収支を大きく変えることができるということです。

あなたが得意なことは何ですか?その得意なことを最大限に生かしましょう。その成果は小さなものかもしれませんが、後々、目に見える大きな結果として現れるのです。


自分にはそんな得意分野なんてないと思っている方。パン作りや新たな料理を覚える時間も才能もないと思っている方。大丈夫です。

実はこの10万円の差で、アルバイトを雇うことができます。原価の差で一人分の人件費を賄えるのです。そしてもしその人が、パン作りが上手だったら、、、どうでしょう?


「でも、それじゃあ、せっかくの10万円が人件費に消えてしまうじゃん!」


いいえ。人員が一人増えるメリットは、更に大きいです。人手が足りなくてお客様を逃してしまうことを考えれば。

以前、パン作りに必要な時間は多いに短縮できると書きましたが、原価の差10万円で雇い入れた方は通常の業務にも参加できると考えれば、営業効率も上がるとというわけです。




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