カフェの原価を考える
- cou
- 2020年8月2日
- 読了時間: 4分

売上げの30%って何?!
カフェのみならず、飲食店は大抵、月末に棚卸という作業を行います。
みなさんもやったことがあるか、耳にしたことがあると思います。日々の営業に追われて、お店によってはあまり正確にやっていないところもあるかと思いますが、お店の現状を知る上でとても大事な作業ですので、ぜひやるようにしましょう。
ただし、棚卸をお店の在庫のチェックだと勘違いしてる方も多いと思います。確かに、何がどれだけあるかを把握する作業ではありますが、棚卸は商品管理の上でも、粗利を計算する上でも、全体の原価率を知る上でもとても重要です。
更には、棚にある在庫を金額として見ることで、お店の営業実態がより正確に把握できるようになります。そして、実態を把握することで、改善すべきポイントが鮮明になります。それまで感覚でしか捉えてなかったようなことが、きちんとした数字で捉えられるようになりますから、これをやっているのとそうでないのとでは雲泥の差があります。
商売は売ることばかりに気を取られていてはだめです。先ずは己を知るという事、それが肝要です。
さて、お店の経営セミナーやコンサルティングの会社などではよく、「原価率30%を守るように」という事を教えられると思います。飲食経営では、この「30%」というのがよく出てきます。
一般的には総売上に対し、
原価は30% 人件費も30% 家賃は10% 以内
というのが理想とされます。残りの30%が光熱費や雑費、そして純利益となります。
ここでいう30%はあくまでも目安であり、原価率が40%でも家賃がタダなら問題ありませんし、オーナー自らが店長としてお店にいる場合、人件費に自分のお給料が含まれているのであれば、純利益が最悪ゼロでもよいわけです。
人件費が高騰している現在、「人件費30%」はキツイ設定だと思いますが、例えば売上が月500万円のお店の「人件費30%」は
500×0.3=150
150万円となります。月に15万円稼ぐアルバイトを10人雇える計算ですから、オーナー店長のお給料が30万円としても8人雇えます。しかし、売上げが半分の250万円だと、
250×0.3=75
75万円となり、同じように雇えるアルバイトは5人、オーナー店長が30万円なら3人しか雇えません。
セルフサービス、フルサービス、お店のスタイルにもよりますが、売上げが上がれば上がるほど、実は「人件費30%」というのは意味を成しません。勿論、売上げに準じて時給もどんどん上げるのであれば別ですが。また、売上げの少ないお店でも「人件費30%」というのは現実的ではありません。つまり人件費が40%であるなら、どこかからその10%を持ってくるような営業になっているからです。わかりやすく言うと、純利益の10%からでもいいですし、原価から5%、光熱費から5%でもいいのです。
「原価率30%」は守っても守らなくてもよい
では、本題です。
「原価率30%」はどうでしょうか?
販売価格1000円の商品にかかる原価が300円であれば
300÷1000×100=30
原価率30%です。
では、販売価格1500円で、原価が2.5倍の750円だとしたらどうでしょう?
750÷1500×100=50
原価率は50%で、20%も高いですね。
粗利はどうでしょう?
前者は1000-300=700円 後者は1500-750=750円
販売価格が違いますから当然ですが、原価率が高くても売れれば問題ないという事になります。
300円の原価でできるものといえば、サンドイッチやパスタ、カレーなどですかね。方や原価750円なら多くの商品ができますね。大まかにいうと、原価300円はカフェなどの軽食、原価750円はレストランということになります。ただ、レストランで1500円の商品は単体でもありますが、カフェなどで単体価格1000円というのはどうでしょう?
カフェで1000円というのはランチやケーキセットですから、ランチならサラダやスープが付いたりしますし、どちらもドリンクが必ず付きますよね。そうなると、原価はたぶん400円を越えると思います。つまり、カフェで1000円以上の商品を作るためには、原価率30%というのは無理があるということです。
では、原価750円の商品にコーヒーを付けましょう。一杯の原価は50円。原価は800円になり、粗利は50円減って700円です。
原価300円の方はサラダ、スープ、コーヒーを付けたセットにします。原価はそれぞれ30円、20円、50円です。これで原価は400円になりますから、粗利は100円減って600円となります。
まだカフェで1500円というのが高いなら、1200円にして原価を600円にしますか。原価率は変わらず50%ですが粗利は600円となり、スープ、サラダ、ドリンクを付けたランチ商品と同じになりました。
あとは、どれだけ売れるかといことですね。
ランチセットの場合は軽食での基本の儲け方です。メインとなる商品が原価300円ですから、商品価格を上げたければサイドメニューを増やすことで帳尻を合わせます。しかし、原価600円の場合はメイン商品に550円かけれますから、こちらは質の高い商品が作れます。いわゆる「本格的な」というやつですね。
どちらがよいでしょう?
お店の戦略やスタイルにもよりますが、多くのことをやりすぎるよりかは、専門性を売りにした方がよいように思います。お客様にもわかりやすいですし、他店との差別化もできます。何より食品ロスが全く変わってきますからね。
ということで、原価30%というのは、ひとつの商品において考えるのではなく、お店全体で見るべきものだという事ですね。そのためにも棚卸はとっても大事なんですよ。
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