カフェであるということ
- cou
- 2019年5月21日
- 読了時間: 4分
更新日:2019年7月27日
私たちが私たちであることに意味があるように、カフェがカフェであることにもまた意味があります。

「カフェと喫茶店ってどう違うんですか?」
昔、よく聞かれたフレーズです。当時、スタッフに「どう思う?」って聞くと
「喫茶店って古いイメージ、カフェの方がお洒落」
「ドリップで淹れてるのが喫茶店で、カフェはエスプレッソ」
「喫茶店って制服ヤバいですよね」
とか、なぜかカフェが喫茶店を見下ろす感じになっていたのを思い出します。確かに、今も純喫茶って残っているんですけど、捜さないとないですよね。まぁ、平成生まれの人は知らないか、街中に喫茶店が溢れてた時代があったなんて。
センスは磨けても個性は磨けない
脱サラしたお父さんが目指した第二の人生、会社や組織の歯車として生きることが嫌になり自由を求めドロップアウトして始めたのが喫茶店でした。現代のような情報が無かった時代ですから、コーヒーの淹れ方も試行錯誤を繰り返しながら、ライバル店の味を盗みながら自分の味を見つけていったんです。だから、店の作りこそ似てても味の違いがはっきりしてたんですね、昔の喫茶店って。
アクの強いマスターがいて、さらに負けないくらいクセのある常連客がいて、もうね、、、
まさに、ザ・水商売。
今のカフェってこれの全部逆です。お店の作りこそ違えど出してる商品は似たり寄ったりで、誰でも簡単に情報が手に入りますから、他との差別化がなかなかできないんです。
スタイリッシュな店内ではスタッフも利用者も礼儀正しくてあか抜けています。でも、センスと個性は別物、似てて非なるもの。だから、そんなお店は何かしらのマニュアルや規則に縛られているのがよくわかります。
一口に「外食産業」と言っても形態は様々です。100席以上の大型レストランからファストフードやスタンドまで。喫茶店・カフェは分類的には軽食産業にあたりますが、立ち位置のあいまいさゆえにレストランのような豊富なメニューやファストフードのようなスピードを求めてしまいがちです。
レストランではないのに、、、
ファストフードでもないのに、、、
スピードを求める者はそのスピードに、数を求める者はその数によって淘汰されていく
現代人は時間に追われて生活していますよね。まぁ、テレビや新聞・雑誌しかなかった時代も忙しく働いてはいたんでしょうが。。通勤前やお昼休みという限られた時間なわけですから、食事はなるべく早く済ませたいですよね。お蕎麦屋さんやバーガーショップで10分なんて誰も待ってくれません。それがわかっているから、お店側も必死にスピードアップに努めます。で、いつからか何時でもスピードが求められるようになるわけです。「お客様を待たせるな!」を合言葉に、まるで何かの呪文のように。
いわゆる飲食店 におけるQSCとは
Q:クオリティー(品質)、S:サービス(サービス)、C:クリンリネス(衛生)
のことですが、最近ではこれにH:ホスピタリティ(おもてなしの心)を加えているお店も増えています。
でも現状はこうです。
V:ヴァリュー(価格)、S:スピード(速さ)、V:ヴォリューム(量)、Q:クオリティ(品質)
つまり、私たちが目指さなければならないことと、現実の間にはズレが生じているということですね。
当然、商売ですからお客様の求める方を優先しますよね?ただ、価格を下げての営業は売上に直結しますので、これはなるべく避けたいところですから、あとは提供のスピードと量または、商品数の多さで勝負と考えるのは当然の思考です。しかしながら、限られた時間とスペース、人員の中でそれらを実行するのはとても困難です。
「じゃあ、レンチンでいいじゃん」
「30秒パスタでいけるよ」
「ドリンクバーで」
そう、それですよ。それしかないんです。でもね、そうなると最後のQが、、ってなるでしょ?
天使は囁かない
「ウチ、電子レンジ1分で出せる商品持ってますよ。レストランでも使われてますから、味は保証します」
取引先の業者さんの一言にあなたは、
「えっ、あんの?マジ天使じゃん!」
(はい、一丁上がり!)
他所とは違う個性的なお店作りはどこに行ったのでしょう?
出せども出せども効果的に売り上げが上がらない理由は何でしょう?
新規オープンした飲食店の7割が3年以内に撤退するという厳しい世界です。それでもまだ、彼らと同じやり方をあなたは選びますか?
カフェがカフェであり続けるということは、そういうことではないんです。
的外れな努力が成果を生むことはないですし、武器も持たずに戦場に行くやつもいません。
楽な思考を持ったあなたに天使が囁くことはないのです。
カフェはカフェらしくあってこそ、大きなメリットが生まれるのです。
カフェのメリット、、、考えましょう。
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